大師流小児はりは、明治時代の中頃から大阪の八尾で続いている治療法です。現在では、日本中だけでなく、アメリカ・ドイツ等でも広く使われています。
子どもには、鍼を刺しません。さするだけです。身体の反応部(悪い所)を重点的に鍼でさするだけです。鍼先に中指を添えてさするから、まるで羽毛でなでられている様に気持ち良いです。気持ちよくって夜泣きや喘息が治るから、子どもも大喜びです。もちろんその子の親も笑顔になります。
夜泣きやお乳を飲まないと困っておられるお母さん、小児喘息やアトピー性皮膚炎で苦しんでおられるお子さんには、ぜひ試していただきたく思います。鍼が痛いか、怖いか、治療中のお子さんの表情を見てもらえば、答えが出ます。それでも不安なら、お母さんが一度、腕に小児鍼を受けてみてはいかがでしょう。小児はりをすると、子育てがもっと楽しくなりますよ。
生後10か月。生まれて半年頃から夜泣きが始まる。寝付いてから3時間経つと、30分から1時間ごとに大泣きする。あやしても抱っこしてもなかなか泣き止まない。30分ほどするとやっとおとなしくなるが、ほどなくまた泣き始める。朝までこんな状態で両親ともくたくたになり、助けを求めて実家に数回避難した。
両親そろって来院。赤ん坊は活発に動き食欲旺盛である。眉間にシワが寄り青筋がはっきり出ている。腹部は張っていて打診するとドスドスと鈍い音。後頚部・背部・仙骨部に反応があり、同部位に小児鍼をした。その後、大量の便があった。続けて一週間治療したら、「久しぶりに、私たちがよく眠れました」とのこと。まだ後頚部に反応が残っているので、1か月後の再来院を指示した。
生後7か月。首の周りからアゴにかけて発赤している。ひざ裏、ひじ等にアトピー性皮膚炎を呈している。夜泣きもひどく、何回も起きる。やや便秘傾向。
曲池(ひじ)や、足三里(ひざ下)、首や背中、腰に反応あり。同部位に軽く施術。保湿するように指導。3か月間に数回治療したら軽快した。夜泣き、ぐずりも落ち着いてきた。今後も発育に伴い、カンムシ症状(夜泣き・キーキー声・便秘等)が出やすいので、予防もかねて月3回~5回の治療をすすめた。
Y君(小学5年生)は2年前からチック症状が出始めた。まばたき、唇をゆがめる、お腹をヒクヒクさせる等の動作が無意識に起きる。病院を受診したが改善せず、鍼灸院を訪れた。塾通いや土日の野球の練習があり、多忙なスケジュールで心身が不安定になり発症したと思われた。
初診時、後頭部から背中・腰に皮膚の緊張が目立った。小児鍼で5分ほど治療したら「気持ちよい」とのこと。週1~2回の頻度で通院。身体の緊張が減少するにつれ症状が出なくなってきた。途中で陸上競技の練習が加わったとき一時的に症状の悪化があったが、延べ30回の治療でほぼ治った。
今後も再発防止のため月1回の治療をすすめている。